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歯周治療

 

"歯周"とは字のとおり歯の周り、すなわち歯肉、歯根膜、歯槽骨そして歯根表面のセメント質を指します。歯そのものではなく歯を支えている組織の事です。昔の歯科治療といえば歯そのもの、あるいは歯のない部分の治療ばかりでした。つまり、保存治療(歯に金属や樹脂を詰める)、補綴治療(金属をかぶせたり入れ歯を作る)そして外科的治療(歯を抜いたり歯肉を切ったりする)が主だったのです。しかし、土台がしっかりしていないのに家を建てても長持ちしないのと同じで、グラグラしている歯やきたない口の中にきれいなセラミックの歯や入れ歯をいれても、短期間で虫歯が出来たり歯が抜けてしまったりして、再治療が必要になります。 具体的な治療の順序は以下のようになります。

1.審査及び診断

2.ブラッシング指導

3.スケーリング及びデブライトメント

4.再検査

5.再デブライトメントあるいは外科処置

6.再検査

7.補綴あるいはメインテナンス

このようにして歯周治療を行い健康な歯周組織が獲得出来てから補綴治療に入れば、それらが長持ちする事になります。しかし、これで治療が終了したわけではありません。一度失った歯周組織は特別な処置をしない限りは元に戻りません。ですから健康な歯周組織といっても、若い頃の歯周炎のない状態に戻っているわけではありません。一度壊れた組織が健康な状態になっただけですので、それを維持するためにはずっと生涯定期的なチェックが必要となります。

 

歯周炎は慢性疾患ですので、一度健康な状態に戻ったとしても注意を怠ればまた再発します。急性症状を起こさないようにする事が、歯周組織の大きな破壊を招かないために最も重要な事です。そのためには自分自身での管理も勿論の事、専門家による定期的なチェックとクリーニングが大切です。自分だけでは100%のプラークコントロールは不可能です。その人の歯周病の程度にもよりますが、3~6ケ月でのメインテナンスが歯を長持ちさせるために必要です。


口の中には約400種類の細菌がいるといわれています。これらのうち歯周病の原因となり歯周組織を破壊する悪玉の細菌は約10種類と考えられています。これらの細菌は歯の表面に付着する事にプラークを形成し歯肉炎や歯周炎を引き起こします。歯石はプラークが石灰化し石のように硬く歯に付着したものです。歯周炎の治療はこれらプラークや歯石を取り除き炎症をなくし再び付着しないようにする事です。プラークは自分自身で歯ブラシや補助器具を使って除去出来ますが、歯石は自分で取り除く事は出来ません。


歯石は歯科医や歯科衛生土などの専門家により除去されます。歯周ポケット内の歯石を除去すると、歯肉が退縮し歯が長くなり歯と歯の間が広く開いて見えます。見た目は悪いのですがこれが健康な歯周組織なのです。


このような従来の治療方法とは別に10年程前から歯周組織再生療法が行われ始めています。すなわち、失われた歯槽骨、歯根膜、歯肉を元の状態に戻そうとする治療法でエチレン膜を使ったりエナメルタンパクを用い外科手術を行います。かなり予知性の高い治療法になってきましたが、まだ一般の歯科医が簡単に出来るものではなく、熟練した歯周病医でないと困難です。


このように一度失った組織を元に戻す事は非常に困難ですので、ひどい状態になる前に予防する事が最も重要で簡単な事です。そのためには正しい口腔衛生の知識を得、口腔清掃の技術(歯ブラシ、フロス、歯間ブラシ等)を身に付け、それを毎日実行する事です。


それ以外に補助的にフッ素を使用したり洗口液を使ったりして、歯質の強化や口腔内細菌の数を減らすように努めます。それと歯科衛生士による定期的なチェックとクリーニングにより、プラークや歯石を除去し健康な歯周組織を出来るだけ長期間維持出来るようにする事が大切です。

歯周治療
1.歯周病の原因
2.こんなときに歯科医でチェックしましょう
3.歯周病と心臓疾患の関係
4.メンテナンスにおけるPMTCと3DS